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📗『百花』 川村元気

無くしたい?無くしたくない?あの時の記憶

シングルマザーの百合子と息子の泉。苦労はたくさんあっただろうに2人は思いやりがって、登場人物もみんな優しい。

けれどもこの2人の間には空白の一年が存在します。その時に起こっていた出来事、一年間の過去の記憶を、百合子は封印したまま忘れていき、泉は知っていくことになります。

この一年間の出来事が二人の間の不思議な距離感になっている感じがして、私は百合子を非難できない、と思ってしまう。

「あなたは誰?」

大切は記憶を無くした「人」っていったい誰なのか、過去を忘れていく母とは別の方向へ進むかのように、泉は幼い時のことを溢れるように思い出していく。百合子が見たいと願っている、半分の花火、は何のことだったんだろう。

最後のシーンは涙が溢れました。

幼いころの沢山の楽しい記憶は、忙しい日々の中に埋もれてしまっているんだろうなあ…きっと私も。

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